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ゲイは身をたすく 

シカゴ大学に留学していたときの話。

私が留学してから半年くらい過ぎたとき、同じアパートに新しい留学生が日本からやってきた。
名前はFくん。

久しぶりの日本人に私はうれしくなり、Fくんは不安なシカゴの案内人として私を利用し、
2人の利害関係は一致して毎日のように一緒に行動した。

朝は連れ立ってシカゴ大に行き、夜は連れ立ってCOOPに行き食材を買って帰り、
2人で料理をして一緒に食事をし、休みの日には2人でシカゴの町を探索した。

さらにいうなら、2人は同じような服装をしていた。
私は上から下までの黒尽くめ。彼も黒尽くめ。
2人でよく「ペアルックみたいだから、君が違う色の服を着ろよ」と言い合ったものだった。


とある週末のこと、2人はイリノイ州の中ではあるが、シカゴのダウンタウンより5マイルほど
北西にある”オールド・タウン”という場所にいってみようということになった。

毎日が退屈だった私たちは、「シカゴ・ネーバーフード・ガイド」という本を買って、
シカゴの近くの面白いマニアックな店を調べ、週末に探した店に出かけていくことが習慣になっていた。

そのガイドブックで、しらべたショップに

魔法使いのお店:イモリの燻製、魔法の杖、秘密の書などを売っているお店。
           ハリーポッターが有名になる以前から、その店はあった。
SPY・ショップ:パトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズにも登場する、
          盗聴器・盗撮用具などを売るお店。

などがあった。
今回は ”オールドタウン”に映画関連の専門店があると知り、出かけることにしたのだった。

オールドタウンにたどり着くと、オールドタウンという名前の印象とは違い、
非常にカラフルな街だった。

住宅は、イエロー、ショッキングピンク、ペパーミントグリーン。
女性が一人もいない。

すれ違う男性がみんな2人連れ、ペアルック、手をつないでいる。

私たちは、2荷連れ、ペアルック。



やばいやばいやばいやばいやばい


ここはゲイの町。緊張感が走る。

そして、目的の映画専門店についた。
店の前から覗くと、映画だけでなく数々の小物がファミリーレストランくらいの広さにあふれかえっていた。

すると、Fくんが急に店の前で立ち止まった。
「おれ、やめておくよ」
「どうして?」
「看板。見て。」
そこには”ムービーショップ・フォー・ゲイ”と書かれていた。

あーーーー。たしかに。これは、まずいなぁ。
でも、私はここまで来たのだから、せっかくのお店なのに、帰る気はしなかったので、
その店に入ることにした。
で、Fくんは店の前で待つことになった。
しかも、Fくんは私に時間など気にしなくていいから、ゆっくり見てきていいよとまで言ってくれた。

そこには、新郎2人が並んだ結婚式のケーキ用ローソクだの、
男性器の形をしたソルト・ペッパーの瓶とか、
蓋を開けると男性器がとびだすびっくり箱とか、
男性のあえぎ声のCDなどが所狭しとならんでいた。
正直言うと、映画関連グッズなんてほとんどなかった。

でも、ゲイではない私には珍しいものばかりで、すごく面白かった。
店内を回っていると、背後に人の気配を感じた。
ゲイの店で背後に人の気配。
さすがに、私はドキッとして振り返った。

そこには、この店には入らないと宣言していたはずのFくんが立っていた。

「どうしたの?」

「店のまえで立ってたら、5分くらいの間に、3人の男性からナンパされた。
もう、こわいから、一緒にいていい?」

「いいよぉ」

ゲイの店のまえで立つことは、男を物色していることになるようだった。
薄暗い夜の街で女性一人が立つことは、客引きに見える。
それと、まったく同じなんだろう。

ゲイの町で、安全に通行するには、ゲイのカップルを装ったほうがよさそうです。


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