仕事でフランスに行ったときの話。

帰りの飛行機のチェックインをしようとしたんです。
ところが、ダブルブッキングだと言われました。

飛行機はＪＡＬとＡＩＲ　ＦＲＡＮＣＥの相乗り便です。

こういうとき、だいたいワンランク上のクラスに席が空いていれば、
ランクアップする可能性があるので、
内心私は喜びました。

そのとき、私はビジネスだったので、ファーストクラスになるかもと、
皮算用をふんだのです。

ところが、しばらく待ってくれと、ＪＡＬカウンターにいたフランス人の美男子に英語で言われたものの、
かれこれ30分が過ぎました。

出発時間まで、とうとう30分を切りました。
出国手続きもしていません。
もう、ぎりぎりの時間です。

私は、その金髪で碧眼の美男子君に再度「まだですか？」と英語で尋ねました。
しかし、やっぱり、もう少し待ってくれといわれました。
かなり、いらいらしてきました。
いや、不安になってきたといったほうが正しかったでしょう。

私は、もう、ベンチに戻りませんでした。
カウンターの前で、彼に呼ばれるのを待つことにしたのです。

しかし、彼は、特に急ぐ様子もありません。
身のこなしは、モデルのようで華麗で、優雅です。
ときおり、彼の後ろを通る、これまた金髪・碧眼の美人とフランス語で軽く会話を交わし、
キーボードをなにやらかちゃかちゃ打っていました。

あ”ぁーーーーー。イライラする。
いくら男前でも、いい加減にしろよ！
綺麗なねーちゃんと、いちゃいちゃする暇があったら、急げよ。
なめてるのか！むかつく。
男前でも、仕事ができないようじゃ、意味ねえんだよ！

と日本語で声に出して、まわりに日本人もいないので悪態をついていました。

すると5分後に、カウンターのフランス人の美男子が、私に流暢な日本語で、

お待たせしました。ご迷惑をおかけしましたが、やっと席を確保できることができました。
こちらの席になります。
　　　　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　　　　　　　　　・
　　　　　　　　　　　　　　　　　・
快適な旅をお祈りしています。

と話したのです。私の悪態をすべてわかっていたようでした。
恐るべし、フランス人。完敗です。

おっとこまえやなぁ～。