忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

罠  

私は、短い間でしたが、シカゴに留学していました。

この話は、留学直前の時期の話です。

留学を控えているものの、語学に不安のあった私は、有名書店の電子辞書・翻訳機コーナーにいき、
電子辞書や、翻訳機を物色していました。

翻訳機というのは、日本語を入力して、ボタンを押すと、
私の代わりに機械が英語を話してくれるという”優れもの”です。

翻訳機コーナーには魔法の機械が数種類ならんでいて、上は10万円から下は3万円くらいでした。
かなりの人が、そのコーナーには集まっていました。
人気は5万円程度のタイプのようでした。

私は語学に不安があるわけですから、どうしても高くても便利で正確な機械がほしいと思っていました。

そこで、そのコーナーの一番高い翻訳機のデモ機を手に取りました。

それは、今で言うDSくらいのコンパクトな機械で、小さな液晶画面には
日本語例文が表示されていました。

「私は英語が話せません。この機械が、私の代わりに話します。」

あぁ、なるほど納得の例文です。

日本語の例文を見て、発音というボタンを押せばいいだけです。

私は、ためしに、発音と書かれたボタンを押してみました。

すると、少し鼻にかかったような機械独特の小さなビブラートのある声で、

そのコーナーにいる人全員に聞こえる音量で、












「私は英語が話せません。この機械が、私の代わりに話します。」










と日本語で発音されたのです。

なぜ、日本語? なぜ、大音量?
どうも、発音ボタンを押す前に、英語で発音させるか、日本語のまま発音させるかの選択ボタンを
押さなければいけなかったようです。

でも、なぜ、大音量?なぜ、ボリューム最大?

私は、そのコーナーにいた全員に振り向かれました。
やられました。
絶対、やられています。

誰かが、わざと日本語設定にし、ヴォリューム最大にして、例文を
「私は英語が話せません。この機械が、私の代わりに話します。」
にして、トラップを仕掛けていたに違いありません。

私は、あわてず、その高価な機械をそっと置き、その場を何食わぬ顔で立ち去りました。
しかし、すこし耳は赤かったかもしれません。

PR

Copyright © 狂ってる? 君に言われたくないね。 : All rights reserved

「狂ってる? 君に言われたくないね。」に掲載されている文章・画像・その他すべての無断転載・無断掲載を禁止します。

TemplateDesign by KARMA7
忍者ブログ [PR]