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私は、短い間でしたが、シカゴに留学していました。
この話は、留学直前の時期の話です。
留学を控えているものの、語学に不安のあった私は、有名書店の電子辞書・翻訳機コーナーにいき、
電子辞書や、翻訳機を物色していました。
翻訳機というのは、日本語を入力して、ボタンを押すと、
私の代わりに機械が英語を話してくれるという”優れもの”です。
翻訳機コーナーには魔法の機械が数種類ならんでいて、上は10万円から下は3万円くらいでした。
かなりの人が、そのコーナーには集まっていました。
人気は5万円程度のタイプのようでした。
私は語学に不安があるわけですから、どうしても高くても便利で正確な機械がほしいと思っていました。
そこで、そのコーナーの一番高い翻訳機のデモ機を手に取りました。
それは、今で言うDSくらいのコンパクトな機械で、小さな液晶画面には
日本語例文が表示されていました。
「私は英語が話せません。この機械が、私の代わりに話します。」
あぁ、なるほど納得の例文です。
日本語の例文を見て、発音というボタンを押せばいいだけです。
私は、ためしに、発音と書かれたボタンを押してみました。
すると、少し鼻にかかったような機械独特の小さなビブラートのある声で、
そのコーナーにいる人全員に聞こえる音量で、
「私は英語が話せません。この機械が、私の代わりに話します。」
と日本語で発音されたのです。
なぜ、日本語? なぜ、大音量?
どうも、発音ボタンを押す前に、英語で発音させるか、日本語のまま発音させるかの選択ボタンを
押さなければいけなかったようです。
でも、なぜ、大音量?なぜ、ボリューム最大?
私は、そのコーナーにいた全員に振り向かれました。
やられました。
絶対、やられています。
誰かが、わざと日本語設定にし、ヴォリューム最大にして、例文を
「私は英語が話せません。この機械が、私の代わりに話します。」
にして、トラップを仕掛けていたに違いありません。
私は、あわてず、その高価な機械をそっと置き、その場を何食わぬ顔で立ち去りました。
しかし、すこし耳は赤かったかもしれません。