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私は嘘が嫌いだ。
なぜ、うそをつかなくなったのか?
警察に嘘をついてしまった過去があるからだ。
私の小学校では、近所の小学生が朝待ち合わせて
集団で登校するという仕組みになっていた。
小学2年生のある朝、待ち合わせの場所で、
私は6年生のジャイアンに、昨夜見たというプロレス技をかけられていた。
結果、私は地面にたたきつけられ、顔半分血まみれになった。
しかし、もう、そのときの私は、泣かない子だった。
ジャイアンは恐怖で顔がひきつった。
私はしかし平然として、学校につけば保健室に行こうと思っていた。
そして、血まみれのまま、校門までたどり着いたときに、
校門の前に立つ教員に、われわれの登校班は止められた。
「どうしたんだ!」教員は、大きな声で叫んだ。
ジャイアンは顔を引きつらせていた。
ほかの子供たちは、ジャイアンを怖れ、誰も話さなかった。
私は、ジャイアンの暴力は怖くなかった。
次の日から、登校するときに仲間はずれにされるのが怖かった。
私は、幼い小学生を演じた。
「知らないおじさんが、僕の顔を石で殴ったんだ。」
「みんなは?」
「みんなが集まる前、一人のとき」
「みんなは、そのおじさんを見てないのか?」
ジャイアンがうれしそうに口を開いた。
「おれが、きたとき、もう怪我してて、だれもおらんかった。」
ほかの小学生も、みんな黙ってうなずいた。
そこから、大変なことになった。
私は病院に連れて行かれ、目尻を4針縫った。
そのあとは、警察で調書をとられ、指紋も全部とられた。
私は、小学校2年で、警察にうその供述をしたのだ。
親も、先生も、警察も、近所の人にも嘘を何度もついた。
心が痛んだ。
それなのに、ジャイアンも、登校班のだれも、そのあと私への
謝罪もなく、そのことは一切口にしなかった。
真実は、闇の中に葬られた。
時が流れ、私は心の中で、ずっとこの嘘がひっかかっていた。
警察に取られた指紋もきになっていた。
高校生になり、化学の実験で塩酸を触ることになった。
先生は、非常に危険でやけどするから注意するようにという指示があった。
私は、すべての指先を塩酸にそっとつけて、指紋を消そうとした。
狙い通り、指先はただれた。
ものすごい痛みだった。すぐに、洗い落としたが、私の10本の指は血を吹いた。
しかし、私はほっとした。これで、指紋が消えたと思った。
このとき、私は不良だったので、同じ実験班の誰も騒がなかった。
この傷は1週間くらいで癒えた。
狙い通り、指紋はなくなった。
でも、不思議なもので、3年くらいたつと、指紋は完全復活してしまった。
ただれた跡など、今はもうない。
私がついた嘘は、私を一生苦しめている。
絶対に、もう嘘はつきたくない。